エッセイ 1040政情不安と対策


ロシアのウクライナ侵攻以来、世界が少々騒がしくなってきた。ロシアに対する様々な制裁に対して、中国、インドなどが異議を唱えていたが、その動きの中で、中国の言動や考え方がこれまでと異なった方向になったことが鮮明になってきたのではなかろうか。
一例としては;
国連の安全保障会議の中で、ロシアに対する非難決議案に対し反対の態度を明確にしたこと。
更に、北朝鮮の核兵器開発に対する禁止措置案に対して、ロシアと共に明確に反対を表明したのである。

中国は、これまで一帯一路などでアフリカ大陸に向かう貿易路の確保に力を注いできたが、最近は太平洋上の小さな島々に資金援助を行って港湾利用などの権利を得ようとしている。これには、アメリカ、オーストラリアが協力して、阻止行動を起こし始めたようである。
今回の、アメリカ・バイデン大統領の韓国、日本訪問を歓迎していない態度を明確に表明し、米韓の軍事演習、日米の安保強化策などに、明確に異議を唱え始めたのである。そして、北朝鮮の行動を陰から援助するような意向を示したと言えよう。

アメリカの自由権に於ける発言力が、時代と共に弱くなってきたのは、バイデン大統領の発言に対する欧州諸国の反応を見れば、明らかではなかろうか。
岸田首相は、日本とアメリカとの軍事協力関係を強化する意図で、アメリカの意向を配慮した行動が目立っている。然し。アメリカの軍事力が相対的に弱体化しつつある中で、このような発言、行動は、時には日本の孤立を招きかねないので、適性を欠く場合が見えてきた。
時には、この時代の流れに配慮しつつ、アメリカとの関係強化と共に、欧州諸国に配慮した上での軍備強化政策を考えるべき時期が来たのではなかろうか。


(令和4年6月2日)