エッセイ 769世界情勢


この処、世界を騒がす事件がアチコチで起こっており、騒然とした雰囲気が治まらない。

フランス、ニースでの花火見物客を襲ったトラックの暴走、トルコでのクーデター未遂事件などは、裏でISがどの程度絡んでいるか定かではない。
ニースのトラック運転手は、チュニジアからの移民でありフランスに不満を抱いていたであろうが、ISとの関係は不明である由。

トルコは、イスラム教徒が多く、然もシリアと国境を接しており、難民移入問題の最前線に位置している。そして、ロシア機撃墜以降ロシアとの関係が悪化していたが、最近エルドアン大統領がロシアに謝罪して、関係改善が始まった処である。
今回のクーデターは、軍部の一部が企てたとして、その指導者と思しきアメリカ在住のギュレン師なる人物の引き渡しを求めている。大統領は関係者と思しき者7500人も逮捕したと言われている。この強硬姿勢が問題の解決になるのか、世界は憂慮の眼でみている。
軍部の逮捕者の数も多いので、今後の治安維持を始め近隣諸国との関係を含めてエルドアン大統領の政権運営が注目される。

アメリカでは、大統領選挙が大詰めを迎えて共和党がトランプ氏を候補に選んだ。来週には民主党候補者も選出される。
この中にあって、白人警官の黒人射殺を廻って黒人の白人警官に対する動きが過激化している。アメリカでの人種問題、銃の主事規制問題は簡単に解決しそうもない。
アメリカが国内問題に追われていると、日本としては世界におけるアメリカの発言力が希薄になって来るのが、心配である。

特に、南支那海における中国の領土権主張に対して、国際仲裁裁判所が下した「中国の主張には何等法的根拠がない」との判決に対して中国は猛然と反発しており、EU諸国とアメリカの共同歩調が求められる。アメリカの次の大統領は、この問題を如何取り組むのであろうか。

中国は経済停滞に陥り始めたと思われるが、イギリスのEU離脱の煽りでポンドが30%も下落すると、イギリスの不動産を中国人が爆買いしたそうである。中国は世界各国との調和を図るよりも自己の利益追求の態度は不変なのである。

日本は、参議院選挙が終わって来月にも内閣改造が行われる模様である。不安定な経済問題と並んで、上記のような世界情勢に如何に対応して行くか、安倍内閣の真価が問われる局面を迎えている。


(平成28年7月21日)