エッセイ 867 景気動向


アメリカ合衆国ではFRBの金利上昇に端を発して、株式相場が一気に暴落し、連日市場を混乱させた。その影響を受けて、日本を始め世界で同時株安の現象が起こり、世界経済を著しく混乱させている。

世界経済を混乱させる要因としては、色々あると言われている。
その根底にあるのは、好調なアメリカの景気動向を背景に、FRBが金利上昇政策のピッチを上げたことである。その結果、USドルが上昇し、その反動で不景気に苦しむブラジル、アルゼンチン、を始め、トルコ、イタリア等の通貨安に歯止めが掛り難くなっていることである。日本もその影響を受けたことも見逃せない事実だ。

然も、アメリカ・トランプ大統領の自国経済の最優先があり、国内産業保護を名目に貿易相手国に対して輸入関税をアップして、事実上の輸入制限を行おうとしていることである。その結果目指す処は、各国との貿易収支の改善である。
相手国の対象が、隣国のカナダ、メキシコを始め、日本に対しても自動車輸入を制限して、逆にアメリカの自動車を日本に輸出したいと言っている。

その中でも、最も強烈なのは中国との貿易戦争であろうか。アメリカに挑戦された中国は、負けてはならじと、報復措置を次々に打ち出している。然し乍ら、最大の輸出相手国であるアメリカへの輸出が減少して中国の景気が低下傾向にある。
その結果、中国向け輸出への依存度が高かった、ドイツなどEU諸国を始め、香港、シンガポールや日本もまた実際にその影響を受け始めているのだ。

この影響をどの程度考慮するかによって、各国経済専門家の当面及び年内の経済如何この予測が些か乱れている。
取敢えずは、世界同時株安の動きは止まったように見えたが、今後如何なる推移を辿るかは、予測し難い傾向にあるので、専門家と言えども今後の株価動向を正確に予想できる状況にはない。

そして、来月7日に行われるアメリカの中間選挙の結果もまた、アメリカの景気動向に多いな影響を与えそうだが、現時点での選挙予測も大きく揺れているようである。その結果如何では、トランプ大統領が如何なる言動、政策転換を行うかも、全く予想し難い。

それに加えて、この度安倍首相が来年10月に予定通り消費税10%を実施するとの意向を明らかにした。これもまた、景気動向の予測にはマイナスに働くことは間違いない。

従って、以上の状況を考慮すると、世界の有力ファンドの株式市場での動向は、経済状況の不安定を根拠に「売り」が主体になるであろうと思われる。

従って、素人の私としては、本年一杯の景気予測は弱気と予想するモノである。とはいっても、この相場で手持ちの株を売るのは、勇気が要り極めて難しい。ジッと傍観していることになりそうである。


(平成30年10月18日)