趣味悠々 1006:アルゼンチン 4


もう大分昔の話ですが、恐らく今でも殆ど変わらないと思われるアルゼンチンの事情を、思い出してみます。

ブエノスアイレスはアルゼンチンの首都ですが、一流ホテルの数も余り多くはありません。
私などサラリーマンの出張者が泊まるのは、もう少し下のレベルです。

当時私が勤務していた会社でも、南米などへの出張者は滅多になく、特にアルゼンチンなどは、皆無に近い状態でした。その為に、南米出張の現地滞在費は北米地区と同じだったのは幸運でした。
従ってNY等に比べると、可なり物価が易い地域での出張費には余裕があったのは確かです。その為、安サラリーマンとしては、ソコソコのレベルのホテルに泊まることが出来ました。

ホテルの部屋に入って、窓から下を見ると其処は一般の人達が遊んでいる公園でした。驚いたことが幾つかありました。

商社との打ち合わせの為にホテルを出てその公園を通って行くと、ベンチで年寄りが腰かけてぼんやりしていました。何もすることがないのです。3時間以上も掛かった打ち合わせを終えて帰路再び公園を通って行くと、その老人が同じベンチで、同じ格好をしたまま座って、ぼんやりしているのです。
当時アクセクして時間に追われる仕事をしていたサラリーマンにとっては、此処は全くの別世界なんだ!と驚いた次第です。

もう一つ驚いたのは、その公園は結構広いので、雑草の生えた運動場のようなところでは、小、中学生くらいの元気な子供たちが、夢中でサッカーをやりながら遊んでいるのです。
その子供たちが、皆、サッカーが滅茶苦茶に上手いのです。当時私は日本で、代表選手のプレイを何回か見ていましたが、ボールを扱う技術は、の本の代表選手よりもその子供達の方が、遥かに上手いのです。
ドリブルでもボールが身体に付いたままの状態で、素早く方向転換したりして自由自在に相手を躱して、走り抜けて行くのです。
暫く、見とれてしまいました。

後で理解できたのですが、子供たちの家庭は皆貧乏で、サッカーはボール一つで20人でも遊べる訳です。野球のようにグローブ、ミット、バット、等は要りません。従って、サッカーは子供たちにとっては、生活の一部なのです。彼等は学校が終われば、毎日皆でサッカーをやっているのです。上手くなりますよね!
それは、隣のブラジルでも同じことで、サッカーは南米諸国のの国技になっています。
そしてブエノスから西のチリ国境のアンデス山脈まで800キロは行ったりした岡はありますが、一面に草原が繋がっているので、サッカーが出来る広場は幾らでもあるのです。


(令和3年9月30日)