趣味悠々 1022:日本歴史の再認識


昨年末に発売された文庫本・百田直樹著の「日本国紀」上下巻を読みまして、色々思うところがありました。中々充実した力作で、一見の価値は十分にあります。

私の日本国の歴史知識は、中高生時代に習ったものが中心で、古事記、日本書紀、源氏物語、枕草子などの歴史的な文献は、殆ど齧ったこともなく、お粗末なものです。
世界史に関しては、興味もあり、現役時代に仕事で海外に行くことが多かったこともあって、若い時に20巻以上の全集ものを2つも買って読みました。
が、日本史に関しては、その後吉川英治や司馬遼太郎などの、所謂歴史物の小説類ばかりを読んだ程度です。

この「日本国紀」上下巻には、当時の教科書などには載っていない政治、文化に絡んだ逸話や筋書きが沢山記されています。それも飛鳥時代、奈良時代から始まって、平安時代、鎌倉時代から今日の令和時代まで、興味をそそるストーリーが満載です。然も、その事実関係の根拠が明快に書かれています。

鎌倉時代の北条氏に関しては、今NHKのドラマが始まっていますが、この著作にはそれを含めて戦国時代、江戸時代、幕末の動きなど、「そういうことだったのか」と始めて知る逸話が満載で面白いです。
明治維新から明治時代、大正、昭和に至る政治家たちの動き、言動も多く書かれていて、始めて知る事実も沢山あります。

これだけの著作ですから、今後評判を呼んで教科書の内容を訂正するような、新しい解釈も生まれて来るのではないでしょうか!

近年の歴史では、何故日本が大東亜戦争に縺れ込んでしまったか、それはそれ以前の日露戦争、日清戦争などを含む、諸外国の情報収集・把握、外交姿勢など、日本が不備であった事実や犯した過ちが明快に記されています。そして当時の政治指導者と軍部の常識不足や国際感覚の欠如が、絡み合って真珠湾攻撃に走ってしまった我が国の愚かさを再認識させてくれます。
そして、朝日新聞、毎日新聞等情報機関もまた国際感覚の欠如が続いており、世界の動きや、日本の立場が認識出来ていなかったことが明確に指摘されています。

第2次大戦後、今日までの逸話や問題点、新聞論調の謝りなど、我が日本これまで歩んできた足跡が、生々しいエピソード満載で、それぞれが鋭く解析されているので、これ以上の詳細はここでは省略します。これは実際に一読して欲しい処です。
社会の推移、我々が犯した過ち、実社会の問題点等に関心のある人にはこの著作を是非読んで戴くことを望む次第です。


(令和4年1月20日)