趣味悠々 881ナマの音楽


日常生活では、音楽はCDなどに録音された状態で聴いていますが、ナマの音楽は一段と魅力的です。特にオーケストラ演奏は、ナマでないと音楽の真髄が判らないのではないでしょうか。
結構耳に親しんでいる曲でさえ、コンサートに行ってナマの演奏を見ながら聴きますと新たな発見をすることが間々あります。

先週、西宮の芸術文化センターの定期演奏会があり、その最後の曲目がリムスキー・コルサコフ作曲の交響組曲「シエラザード」でした。
ご承知の通り、この曲は「千夜一夜物語」の世界を、コルサコフが異国情緒豊かに、4つの交響組曲として作曲した名曲で、初演は1888年だそうです。

この曲のCDは、カラヤン・ベルリン盤とデュトワ・モントリオール交響楽団の盤と2枚持っていまして、結構好きな曲です。

ですが、思い出してみるのですが、これをナマのコンサートで聴いたことがあるか否か、記憶が定かではありません。

今回、PACの演奏を聴きまして、改めて、これが如何に名曲であるかを再認識した次第です。
先ずは、初めから複雑な異国情緒溢れるヴァイオリン独奏の独創的なメロディで始まり、4つの組曲全体に、その物語性を見事な音楽の表現で纏めていること。
そして、弦の独奏から始まって、ハープの音色とリズムの鮮やかさ。オーボエ、フルート、クラリネット、ファゴットの木管楽器が多様な姿で大活躍。金管楽器もトランペット、トロンボーン、テューバ、ホルンなどがそれぞれ大活躍します。
更に、踊るようなリズムを色鮮やかに、絶妙な店舗で奏でる打楽器は、ティンパニー、小太鼓、ドラム、シンバル、ドラ、等などが、ものの見事に、最高のタイミングで演奏してくれまして、聴衆を興奮させてくれたのです。

これだけのメロディ、リズム、ハーモニーを鋭いテンポで演奏させる指揮者にも力量が求められます。曲を細部まで完全にマスタターした上で、己の音楽観を入れこまないと、この曲の指揮は出来ないでしょう。
今回これを指揮したのは、岩村力氏でしたが、彼の力量は半端ではないことが判りました。名演と言えるでしょう。

音楽をこのように味わえるのは、幸福そのものです。ナマで見なければ決して味わえませんね。素晴らしかったです。

これは、名曲だということがよく判りました。


(平成31年2月21日)