趣味悠々 893ワルキューレ


以前にも書きましたが、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場のオペラ製作費が入場料収入だけでは足りないので、それを映画撮影して、世界の先進国の映画館に配布。そこで上映して得た収入の一部を制作費に充てるというシステムが10数年前に確立して現在も続いています。
毎年、METライブビューイングとして10作のオペラを上映しています。昨年度メト・オペラの9番目がワーグナーの「ワルキューレ」で、今月の出し物です。12日にこれを観てきました。

ご承知の通り、これはワーグナーの傑作と言われる「ニーベルンゲンの指輪」4部作がありまして、その2番目がこの「ワルキューレ」です。上演時間は4時間弱ですが、途中の解説、インタービューや休憩時間などを入れますと、5時間10分も掛かります。従いまして、これを観ようと思いますと、それなりのスケジュールと肉体的な覚悟が要ります。ずっと座り続けですからね。

筋書きは一応承知はしていますが、展開が複雑ですし、役柄の名前が似たものが多く難しく覚えにくいので、予め予習をして行くことになります。
この日は、それを予定して前日に準備した資料を持って、予習をしながら電車に乗って出かけて行きました。

ワーグナーはヴェルディと並んでオペラ会の大横綱ですから、私の昔の音楽仲間にもワーグナーに詳しい人、惚れてしまった人などが何人か居ます。

とにかく長い作品が多いので、私は何とかワーグナーの理解者になろうと、過去に何度も作品を見聞きしてトライして来ました。従いまして、一通りは理解して居りますが、未だにワーグナー通にはなってはいません。

「ワルキューレ」とは、ドイツ語で「戦う女神たち」という意味のようですが、4部作の
最初の「ラインの黄金」と第3作の「ジークフリート」の間にあり、ストーリーの展開と、その意味をしっかり理解しないと、ワーグナーの意図するところが判りません。

然し、音楽は随所に重厚な流れの素晴らしい響きが感じられます。ワーグナーに嵌まった人は、この辺りで痺れるのだろう、と推察致します。特に3幕の「ワルキューレの騎行」は、その意味をくみ取りながら聴くべき音楽だろうと思いました。

歌手たちが所謂「ワーグナー歌手」で、あの難しい歌の数々を終始完璧に歌いこなすのには、拍手喝采です。流石メトですね。オケも指揮者ジョルダンも見事というしかありません。

楽しんできました。

(令和元年5月16日)