趣味悠々 906美術的な感性


18日の日経新聞のコラムで、画家東山魁夷の代表作「道」を絶賛する文章が載っていました。シンプルな構図で、景色を説明するような素材を省いて、場所も特定することもことはなく、観る人の想いや感性に委ねている、とのコメントです。
東山魁夷が若い頃にこの作品が日展に入選して、彼が一流画家として認められる切っ掛けとなった記念すべき作品であることは、私も承知しています。

私は、後世に残る画家としては東山魁夷は平山郁夫や千住博よりも評価できるのかな、と思ったりしております。
他の画家の出世作は、それなりに見事だなと感じるものばかりです。

処が、この作品「道」は、何回観ても、じっくり観察しても、何故これ程評価が高いのかが、実はさっぱり判らないのです。私には平々凡々な構図で、ただ漫然と描かれているとしか見えません。

という事は、私には絵画を鑑賞する感性に乏しいと思わざるを得ません。難しいですね。東山魁夷の他の作品には魅力的なものは幾つもあります。そんなことを考えると、絵画の鑑賞には様々な感性や感覚が必要なことを感じております。

音楽でも同じ事かも知れませんが、それぞれの作品や演奏に対して聴く者の感性や、好き嫌いあるので、聴く人によって評価が異なるのはむしろ当然です。
そして、同じ曲を何回も聴いていると、作品の良さが次第に判ってきて好きになってゆくことが多いですよね。

絵画の方も好き嫌いで区別しても良いのやら存じませんが、何回観てもこの作品の良さが、私には伝わってこないのです。結論としては、己の鑑賞力の低さだけは確かのようです。

現代の日本画家の評価は、主として画商が決める号単価で決まることが多いようです。然しながら、この評価は外国では必ずしも受け入れられている訳ではないようです。
外国に於ける浮世絵や若冲のように江戸時代画家、作品の評価と現代日本画家の評価には、若干差があるのも確かでしょう。
その中で、千住博の滝の絵も、時折「?」が付きますが、彼がニューヨークで活動しているのは、それなりの評価を得ていることでしょうし、立派なことと言えるでしょう。

平山郁夫のシルクロードの作品は、外国での評判はイマイチのようですが、日本では評価が非常に高いですね。結構なことです。

以上、全くの雑文ですが、勝手な私見を申し述べました。


(令和元年8月22日)