趣味悠々 920フォーレのレクイエム


私と妻が会員となっている西宮の芸術文化センターでの定期演奏会は毎年10回行われています。この芸文センターは、1995年の阪神大震災で被害にあった西宮市が、その復興記念のシンボルとして阪急西宮北口に建設したものであり、内部装置を木造で囲っている為、柔らかい音響が致します。

定期演奏会は毎回金、土、日の3日間の3回行われます。私共は初回から金曜日の会員ですが、もう15,6年くらいは経っています。先月は、ショウスタコーヴィッチのチェロ協奏曲とマーラーの交響曲第1番「巨人」でしたが、素晴らしい演奏で生のオーケストラをナマで聴く喜びを満喫致しました。

ところで、次回の定期演奏会は来年の1月17日(金)に行われます。この日は、あの阪神大震災の丁度25年目の被災日なのです。
その慰霊祭として、音楽監督の佐渡裕氏の指揮でフォーレのレクイエムが演奏されます。

これまで、レクイエムと言えば、モーツアルト、フォーレ、ヴェルディなどが作曲したものを、死者の霊を悼むという単純な気持ちで聴いてきました。
今回は、私共が25年前の明け方5:45amに、強烈な地震に「俺の命もこれまでか!」と、魂まで揺さぶられた被災者の片割れと致しまして、この震災で生命を失った方々の冥福を祈りながら、このフォーレのレクイエムの生演奏を拝聴することに相成ります。

曲の開始時間が、午後ではありますが、5:45pm に設定されたのも、西宮市、および音楽監督の佐渡裕氏の気持ちが現れているように思われます。

今月に入りまして、このレクイエムの手持ちのCD2種を新たな気持ちで聴くことに致しました。2種とは、1)アンドレ・クリュイタンス指揮、パリ音楽院管弦楽団の演奏
2)リチャード・ハイコックス指揮のロイヤル・フィルハーモニー と演奏です。

阪神大震災で亡くなられた被災者の冥福を改めてお祈り致します。


(令和元年12月5日)