趣味悠々 949:外国の思い出 2


アルゼンチンは16世紀に南米大陸に上陸したスペイン人が南下して、独立させた国です。言語はスペイン語で、現在でもインディオ系の住民は少なく、スペイン系、イタリア系
の国民が殆どです。

首都ブエノスアイレスは大西洋に面していますが、西に延びた草原はアンデス山脈の麓まで800キロも伸びた世界一の大草原になっています。
その草原の主人公は羊と牛ですが、なだらかな丘を含めて広大な牧草地になっています。
従って主たる産業は牧畜業で、牛肉の生産量は世界一です。数量だけではなく、品質、味覚も恐らく世界一でしょう。

私が、最初に訪問した頃は未だ牛肉が苦手で、それも大きなレアのビーフ・ステーキが出てくると困ったのを覚えて居ります。然し、毎日3食とも牛肉が出てきますと、これを食わずには生活できません。
ステーキと言っても、さほど高価ではなく、庶民が毎日食べられる値段なのです。たまに喰う中華料理よりも遥かに安価でした。段々味にも慣れて来て、ウエルダンではなく、レアーが本当の牛の味だという事が判ってきました。その間3か月位掛ったでしょう。

ゴルフ場に離接した取引先の別荘に昼間招待されると、牛の大きな胴体が丸ごと宙づりにされていて、下から木材に火をつけて全体を焼いているのです。この胴体から、自分で好きなだけ肉を切り取って食べなさい、とのこと。私共は彼等の半分も食えません。が、何とも言えない味覚を堪能出来ました。
そしてこのステーキがワインとバッチリ会うのです。当時日本ではワインと言えば、赤玉ポートワイイしかなく、ワインがどんなものかも知りませんでした。

ブエノスでは勿論スペイン製、フランス製のワインも豊富に輸入されていて、素晴らしい品格と味でした。ですが、殆どの家庭やレストランでは自家製でワインを作って居り、Vino de la casa (自家製ワイン)があります。慣れてきますと、これがまた渋くて肉にバッチリ合って美味いのです。

此処では、広大な牧草地を持って牧畜業を経営し、自家用機で牧地を回っている経営者が上流階級で、その子供達はヨーロッパの大学に留学し、あちらでの社交界で顔を売ってから、結婚相手を見つけて連れて帰国します。ですから上流階級はずっとヨーロッパ系が続いて行きます。

もう一つ凄いのは、サッカーが盛んなことです。現在でも世界の最優秀選手メッシに代表されている通り、国内でのサッカー熱は半端ではありません。ブエノスに6つもあるサッカー・スタジアムは、毎週どこも満員です。試合が終わると勝ったチームの応援団1000人以上が、大きな声で応援歌を歌いながら街中を行進するのです。

街中の広場でサッカーボールで遊んでいる小学校低学年の子供たちの技術は、皆天才的な技術があり、当時の日本の代表選手よりも相当上の見えましたね!

今回はこの辺りで、終わりに致します。


(令和2年7月2日)