趣味悠々 958:外国語


自慢話と誤解されてしまうので書くのを逡巡するのですが、語学は私の趣味の一つでした。
受験生の時代の後、「将来外国で仕事する機会があればな!」と思い、自分勝手に英会話をマスターしようと思ったのです。
当時は今のように語学を習得する為の道具がなかったので、自分なりに工夫しました。神保町で英語のポケット・ブックを買ってきて読みました。アガサ・クリスティーなど小説が主体です。当時話題になった「チャタレー夫人の恋人」も原文で読んでいました。
英語を読むだけでは、肝腎なヒアリングが中々進みません。アメリカ人の会話が聞き取れないのです。
ヒアリングを向上させるために、ケェネディ大統領の就任演説は素晴らしかったので、これをカセット・テープに録音して、覚えました。今でも覚えています。

社会人になって、外国出張の際には、こんなことが結構役に立ちました。

1985年に、日本・神戸で行われた「ユニバシヤード」という世界の大学生によるオリンピック大会が神戸市の総合運動公園で行われました。当時は転勤で東京から神戸に移り住んでいました。開催の前に、ボランティア通訳の募集があり、これに応募しまして、外人2人の面接試験を受けました。

そんなことで、通訳をしたことが神戸市の資料に残っていたせいか、定年後には兵庫県の弁護士協会の通訳として20人くらいが登録され、その一人になりました。
神戸市近辺で外国人の犯罪が起こり、外国人が捕まると、当日当番の弁護士さんから、都合がつく通訳を探して電話が掛かってきます。
要請に応じて、その日の夕刻、夜などに警察署で弁護士と落ち合って、留置所のネット越しで犯人との会話を通訳するのです。何回か行われます。毎回、2時間程で終わりますが、国が1~1,5万円ほどを支払ってくれるので、小遣いにはなりました。
犯罪の多くは、麻薬関係ですが、時折盗品自転車の密輸、盗品自動車を解体した部品の密輸などがあります。これは当時はアフリカとロシア方面が多いようでした。
そんな訳で、神戸近辺のアチコチの警察署の留置所を何か所も存じ上げて居ります。

高齢化と共に、物忘れが多くなりますが、英語の表現力もドンドン忘れてしまいます。そんな訳で75歳の時に弁護士会通訳を辞退して、今日に至って居ります。
40台で南米への出張は多かった時は、スペイン語の会話もソコソコ喋っていましたが、30年以上も喋る機会がないので、今では殆ど忘れてしまいました。

という訳ですが、最近少々腹立たしいのは、テレビや新聞報道にやたらと中途半端なカタカナ英語が使われることです。会社の名前も最近はカタカナが多くなっています。
加えて、英語を短縮してしまう傾向が増すばかりです。パソコン、スマホ、アプリ、コンビニ、デジカメ等、原語の組み合わせを勝手に半分に縮めてしまったインチキ英語も増えています。
そしてコロナが始まると、パンデミック(大流行)とかワーケイション(働くこと)など、と言わずに日本語で言えばよいではないですか!
以下は昨日の日経新聞の文章です。
-1.ブランド評価でマイクロソフトは1位となっており、在宅勤務をサポートするシステムとして評価するビジネスパーソンは多い。
-2.学生時代にイベントサークルのサブチーフを経験し、・・・。
こんなカタカナは立派な日本語で表現出来るじゃないですか!一流と言われる新聞社がこれですからね。

キリがないのでこの辺で止めますが、ジャーナリストや学識経験者たちが、このような日本語の乱れについてしっかりと姿勢を正して意見を述べて欲しいものです。


(令和2年9月24日)