趣味悠々 975:STAY HOME 2


コロナ感染の影響で STAY HOMEをして居ますと、この空いた時間に行っているのが、読書と共に音楽を聴くことです。
特に生の演奏会が殆ど中止になっています。震災復興記念として創立された西ノ宮芸術文化センターの定期演奏会の会員になっていますが、これが2020~21年の演奏会の計画が頓挫したままになっています。

また、世界的にもヨーロッパやメトロポリタンの演奏会も、中止になったままです。

そんな訳で、それ以前に行われたオペラや演奏会を録画したディスクの中、まだ見ていないものが結構在るので、この際それ等を幾つか見ようと、棚から持ち出して視聴しています。
その中で、今週見たのが。2019年7月に行われましたザルツブルグ・音楽祭で行われたオペラで、ヴェルディの「シモン・ボッカネグラ」です。演奏はウイーン・フィル、ウイーン国立歌劇場、指揮はヴァラエリー・グレギエフでした。

音楽好きの人はご承知の通り、近年のオペラの演出には、オペラが作曲された時代とはかけ離れた超モダンな演出のものが多くて、多くの聴衆の顰蹙を買っているものが少なくありません。
ニューヨークのメトロポリタンを除きますと、欧州ではこれが話題になっています。

今週見た、「シモン・ボッカネグラ」。この舞台は14世紀のジェノヴァ共和国がで、貴族と平民の間で、次期総督を選ぶ複雑な経緯がその物語です。この第1幕では、暫くして市民達が30人くらい舞台に出てきます。
この舞台を見て、唖然としてしまいました。市民たちが誰もがスマホを持っていて、俯きながら、それを操作しているのです。
これを見て、白けてしまいました。 これじゃ見る気がしませんよね。背広を着て、或いはスポーツシャツを着て歌舞伎をやるようなものでしょうか!
このような演出家が大きな顔をしているのは、許せません。1幕だけ、目をつぶって音楽だけ聴きましたが、それで止めてしまいました。

小澤征爾氏もこのような演出に疑問を呈しています。「舞台上の演出を好き勝手にモダンにしても、音楽は変えられませんからね!」と。 そうですよね。

この「シモン・ボッカネグラ」は、私が只1度しか行っていない1971年のミラノのスカラ座で見たオペラなのです。その時のクラウディオ・アバードの名演、名場面が頭に残っているのです。
これが消えても困るので、この件は忘れることに致しました。


(令和3年1月28日)