趣味悠々 983:はやぶさ2の偉業


皆さん、ご記憶の通り、2014年12月3日に宇宙ロケットと共に打ち上げられて、小惑星リュウグウへと旅立ち、計画通りの成果を挙げて、2020年12月6日、6年振りに地球に戻り、この小惑星から岩石を持ち帰って、無事にオーストラリアの砂漠にこの採取された岩石が落下されたニュースがあった、あの「はやぶさ2号」の業績を思い起こしてください。

これに関する書物として、ドキュメント「はやぶさ2」の大冒険が最近出版されました。
この書物を纏めたのは,NHK小惑星リュウグウ着陸取材班です。この取材班が、今回はやぶさ2が飛んだ2195日の間、このプロジェクト・チームの活動を取材し続けた結果、その概要を6人の取材メンバーが書き上げたものです。

私は、この世界に誇れる「はやぶさ2」の大冒険に興味がありまして、書物が出たら読みたいと思っていました。早速買ってきまして、一気に読んだのです。
詳細な数々の出来事の記述は省略しますが、この飛行が如何に凄いものかを簡単に説明してみます。

1.通常、若田光一さんなどが宇宙での人工衛星に滞在している話があります。これも大変なことですが、この人工衛星は、地球から4~500kmの上空に位置しています。東京~大阪の距離より近いくらいです。
処が、この小惑星の位置ですが、太陽系の中ではありますが、地球から3億キロも離れています。
2.従って、この位置にまではやぶさ2が行くのには2年以上も掛かるのです。然も地球が太陽を周回する際の遠心力を利用したりもしています。
3.3億キロも離れたはやぶさ2との通信には電波を使っていますが、片道17分も掛かります。通信が届いているか否かは、その返信を待たないと判りません。それには更に17分を要し、通信の往復には30分以上も掛かるのです。
4.このはやぶさ2には、ハヤブサ1号で経験した失敗を克服すべく、各機器を改良し、不具合が起こらぬようプログラムを含めてあらゆる創意工夫が実行されていました。
5.小惑星リュウグウの大きさです。これが直径が何と900mしかない極端に小型なものです。3億キロ離れた位置に存在する直径900mの小惑星を目指す難しさは、例えようがありません。
6.はやぶさ2がこの惑星の上空に行ってみると、砂地がなく全てが大きな岩でした。そこに着地を失敗すると、はやぶさ2は岩にぶつかって壊れてしまいます。然も岩石を採取する為に、適地を探してインパクターと呼ばれる爆弾を投下して、人口のクレーターを造ったのです。このクレーターの直径は何と6mしかありません。
7.この6mのクレーターをカメラで確認して、其処から岩石を採取しました。

採取に成功した際の映像で、この成功が確認されると、この計画担当600人のチーム全員が大拍手を以て感動を味わったのです。この辺りを読んでいると、私も涙を禁じえませんでした。
この時、報道陣にこの成果の点数を聞かれた津田プロジェクト・マネージャーの答えは、「100点満点で、1000点です!!」と答えたそうです。

この工程に中には、世界で初めて成功したという偉業があるのです。素晴らしではないですか!
3億キロ離れた直径900mの惑星に造った直径6mのクレーターに到達することは、
ゴルフに例えれば、日本で打ったティー・ショットがブラジルのゴルフ場の狙ったホールにホールインワンするに等しい確立だそうです。それを全て日本の相模原からの通信で成功させたのです。

この素晴らしい技術成果を纏めて、中学校の教科書に掲載することを提案いたします。この成果は、若者の心を捉えること間違いないでしょう。其処から新しい時代を担う素晴らしい技術者が誕生するに違いありません。

ご承知の通り、その後ハヤブサは2年半を掛けて地球に戻り、オーストラリアの砂漠に、採取した岩石の入ったカプセルを計画通り落下させました。
これだけでも、大したものです。そしてこのハヤブサ2は、地球に戻ると空気摩擦熱で燃焼してしまうので、また次の計画に使うべく現在も宇宙を飛行中とのことです。

以上です。ご興味のある人は、この書籍をお読みください。


(令和3年3月25日)