趣味悠々 995:アルゼンチン 2


ブエノスアイレスでの私の仕事は、プラント建設の受注活動で、これには現地工事が欠かせませんので、現地の工事会社と接触し、適当な工事会社を探し、見積を取得することでした。
全く知らない土地なので、仕事に先立って先ずは、現地で如何に暮らすかが問題なのです。
滞在が長くなりそうなので、先ずはブエノス市内を探索することにしました。

ホテルのカウンターで周囲の地図はないかと、受付のボーイに聞いたら、中々見やすい地図を呉れました。その地図を見ながら、そのホテル位置は何処か、と聞いたのです。
驚いたことに、そのボーイは、地図を横にしたり逆さにしたりして、判らないから聞いてくると、奥に引っ込んだのです。稍々年配の男が出て来て、ホテルの位置や、雑貨店、薬屋等も教えて呉れました。

そして、それではと、市内へと散歩に出掛けました。普通の高さのビルが並んでいて、アチコチに店が見える落ち着いた、感じの良い街でした。丁度、京都のように道が碁盤の目のように十文字に並んでいて、判り易いのです。ところが、街並みを地図で確認すると、現場と合わない所があるのです。
暫くして気が付いたのです。太陽が出ている方向が南だとばかり思って地図を見ていたのですが、太陽がある方向は、「北だ!!」 と、気が付いたのです。
此処は南極なのですね。

暫く悠然と散歩していたのですが、都心に大きな公園があり、それは「パレルモ公園」と言って、丁度ニューヨークの「セントラル・パーク」のような位置づけでしょうか。
公園の中には18ホールの立派なパブリックのゴルフ場もあって、後日何回も楽しませて貰いました。

このパレルモ公園からの帰り道に、向うから歩いて来た青年が近づいてきて、私にあるお店の場所を尋ねるのです。ブエノスでは、私の姿は完全によそ者、外国人に見えるに違いないのに、その私に道を尋ねるとは!!、驚きました。
私は、慣れないスペイン語で日本から就いたばかりで、判りません、と答えると、流石にニッコリ笑って、去って行きました。

このように、アルゼンチンはのんびりした情緒溢れる国なのです。時間の感覚もおおざっぱでアクセクした東京では考えられない、別の世界を感じました。



(令和3年7月8日)