趣味悠々 858:ボランティア(のつもり)


これは趣味と言うものではありませんが、仕事でもありません。一時期個人的にお手伝いの積り行っていたことを、記してみます。

最近、大阪・富田林警察の留置所から逮捕していた犯人が逃げ出したニュースを連日報道しています。

私は65歳で仕事をリタイヤした後、時間がありました。以前から時々神戸市関係の催しもので英語の通訳をしていたこともあって、兵庫県弁護士会にボランティア通訳(と言ってもお金を呉れるのですが・・)の一人として登録致しました。

警察では事件が発覚して逮捕者が出ると、取り調べが一段落した段階で、国が割り当てるのですがその日当番を割り当てられた弁護士が逮捕者と面談し、逮捕者側に何か言い分が無いか、問いただしたりします。今回の富田林の例もそれだと思われます。
逮捕者が外国人であると、通訳が必要になる場合があります。その際は、1~2日前に担当の弁護士さんから通訳の一人に連絡が入り、日時を調整して後、指定の警察署で待ち合せて留置所の面談室で逮捕者との接見に立ち会う訳です。弁護士の人は日中は多忙なので、面談は通常午後6時か7時頃から始めます。

此度の事件報道で、その頃の弁護士接見に立ち会った時のことを色々思い出しました。

私の記憶にある警察署は、神戸市では中央区、長田区、須磨区、垂水区等ですが、その他に三木市、西宮市などの警察署にも出向きました。どの警察でも、留置所は一般の人は立ち入らない奥まった場所にありまして、面接する留置所の佇まい、様子は今回テレビに写された面接室と何処も同じで、アクリル板に金網付きの丸い窓を通しての接見になります。

扱った事件では、麻薬関係が何件かありました。警察は末端の麻薬販売者だけを捕らえても事件は根絶出来ないので、ヤクの販売者を見つけると暫く泳がせて、仲介者を見つけて特定し、出来れば更に販売組織の中心人物・親玉を探求するようです。
一度は、麻薬販売者が新幹線・新神戸駅前で、駅前駐車場の車の中でナイジェリア人の仲介者より麻薬を受け取る現場を抑え、警察が全員を現行犯逮捕したそうです。犯人4人を捕らえて別々の警察署に連行して個別に尋問したそうです。その片割れの一人が、私共の接見相手でした。犯人同士が互いに嘘、口裏合わせしないかを見破るのだそうです。

また、別件では若いアメリカ人が関西で英会話の教師をしながら、下宿先で大麻を栽培していて捕まったケースもあります。逮捕されたことをアメリカの両親に知られること、心配していました。そんな場合には弁護士は、黙秘権と言う権利を助言したりします。

その他では、矢張りナイジェリア人でしたか、日本から中古自転車をアフリカ各地に輸出を行っていましたが、その中に盗品が2点ほど発見されての逮捕・拘留でした。

非常に悪質で許し難いと思ったのは、売り先の外国人バイヤーから注文を受け、指定された機種の自動車を盗み、それを三木市内にある自前の工場で解体して、輸出していたアフリカ人のグループがありました。
激しい雨の中を三木市の警察署に通った記憶が甦って来ましたが、警察は他の仲間や同業者が国外脱出をする前に逮捕する為に、警察がグループを逮捕した情報が漏れないように、我々にも当分の間シークレットを保つように要求されました。

警察は、それなりに頑張っているな、との印象が強かったですね。今回の事件は例外でしょう。
何処の留置場の面談室も同じような構造でしたが、規定通りに管理していれば、逮捕者が簡単に逃げ出す事は難しいと思われます。今回のように過去にも何回か逮捕歴のあるような男の管理は、通常よりも厳重であるべし、ですよね。

通訳で困るのはナイジェリア等アフリカ人が喋る英語の発音は独特です。それに慣れるまでに苦労します。例えば、マザー(母)のことを、「マダー」と発音したりします。
仕事を辞めてから、英語を話す機会が殆どなくなり、固有名詞や単語などが出ないこともあったりしたので、数年前に通訳は引退届を出しました。


(平成30年8月16日)